社長に保険を売るうえで相続対策の知識はマストといえます。高額所得者の多いオーナー社長は相続税負担が発生する確率が高いからです。ご存知のとおり、生命保険は相続対策の定番ツールです。それゆえ、生命保険を活用した相続対策には終身保険などを活用した『保険料贈与プラン』など様々な保険営業ノウハウがあるわけですが、今回は相続対策としての『医療保険プレゼントプラン』について解説します。
医療保険プレゼントプランとは?
冒頭のとおり、生命保険は相続対策の定番ツールです。それゆえ、終身保険を活用した『保険料贈与プラン』など様々なプランがあるわけですが、個人契約の「医療保険」を活用した、通称『医療保険プレゼントプラン』もそのうちの1つとして有効なプランといえます。
そのロジックを解説します。『医療保険プレゼントプラン』では次のような契約形態で「医療保険」に加入します。このとき重要ポイントがあります。それは保険料を「全期前納」で払い終えてしまうことです。
契約者 | 社長 | 保険料負担 | 社長 |
被保険者 | 子・孫など | 保険料払方 | 全期前納 |
そうして「医療保険」の保険料の支払いを終えたとこで、次のように契約者(社長)から被保険者(子・孫など)に名義変更(贈与)します。すると、名義変更(贈与)後は被保険者(子・孫など)が契約者となり、保険料負担ナシの一生涯の医療保障が残ることになります。
医療保険プレゼントプランのポイント解説
『医療保険プレゼントプラン』の“キモ”はズバリ、「現金」を「医療保険」という保険資産に変えることで契約者(社長)から被保険者(子・孫など)に「無税」で贈与できる点です。「医療保険」であっても終身タイプの保険料を「全期前納」すれば、それなりのまとまった額になります。
仮に、その保険料と同額を「現金」で契約者(社長)から被保険者(子・孫など)に贈与すると、基礎控除 110万円を超えた金額に対して「贈与税」がかかってきます。
しかし、それを保険資産という形で「医療保険」にして契約者(社長)から被保険者(子・孫など)に贈与すれば、「贈与税」はかからずに済みます。「医療保険」の解約返戻金はあっても、せいぜい入院給付金日額の10倍程度で、その額なら贈与税の非課税枠(基礎控除110万円)内に収まるからです。
医療保険プレゼントプランのメリット
『医療保険プレゼントプラン』では契約者(社長)は「全期前納」した保険料分だけ相続財産を圧縮することができます。一方、被保険者(子・孫など)は自身で保険料を負担することなく、一生涯の医療保障を手に入れることができます。すなわち、『医療保険プレゼントプラン』は「医療保険」をプレゼントする側(契約者)にも、される側(被保険者)にもメリットがあるプランになるわけです。
医療保険プレゼントプランの注意点
『医療保険プレゼントプラン』の注意点としては保険料を「全期前納」しても、保険契約を解約したときの解約返戻金がない(あってもごくわずか)ということでしょう。そのため加入にあたっては、
- 保険料をいくらにするのか?
- 被保険者を誰にするのか?
- 保障内容をどうするのか?
などを十分検討したうえで、本プランを実行することが重要になってきます。
この記事のまとめ
以上が相続対策としての『医療保険プレゼントプラン』の概要です。ご存知のとおり、「医療保険」は【法人】を契約者にすれば、『医療保険名義変更プラン』として社長に提案することもできます。一方、相続税対策で悩みを持つ社長【個人】を契約者にすれば、今回ご紹介した『医療保険プレゼントプラン』として提案することもできるわけです。こうした「医療保険」の使い方を知っておくことは保険営業マンにとって提案の“幅”を広げることにもつながります。以下の実務ノウハウと併せて、ぜひマスターしておきましょう。