役員退職金プランの提案に必須な前提知識~税制の“歪み”を最大限活用する!

役員退職金プランの提案に必須な前提知識~税制の“歪み”を最大限活用する!

法人保険提案の王道のひとつに「役員退職金プラン」があります。役員退職金の原資を“経費化”して積み立てることができる。この点において、保険商品には他の金融商品にはない大きなアドバンテージがあります。そこで、今回は法人保険を活用した「役員退職金プラン」を販売するうえで、保険営業マンが絶対に知っておいた方が良い知識情報をご紹介します。





退職金原資は同額でも手取りが増える不思議

実は、「新設法人リスト」を眺めていると面白いことに気が付きます。新設法人の中には、同一日に、同一住所で、登記されている会社が相当数あるという事実です。そういう会社は節税目的で作られているケースが多いので「社名」も適当だったりします。

とくに現在は会社法改正により、類似商号の禁止規定が撤廃されています。それゆえ極端なケースでは、同一日に、同一住所で、

  • 「株式会社田中」と「合同会社田中」 → “法人格”を変えて登記
  • 「株式会社田中」と「田中株式会社」 → “前株と後株”を変えて登記
  • 「株式会社田中茅ヶ崎支店」と「株式会社田中寒川支店」 → 支店別に登記

なんて会社も登記されています。同一日に、同一住所で、3社も、4社も登記している会社もあるくらいです。注目すべきは、これらの会社の社長は“会社の数だけ役員退職金をもらえる”という事実です。親族役員がいればその分も加算されるでしょう。

役員退職金は会社の数だけもらえます。2社あれば2社から、3社あれば3社からもらえるわけです。それだけではありません。役員退職金原資が同額なら、それを複数の会社からもらった方が“社長の手取りは大幅に増える”という摩訶不思議な現象が起きるのです。

いいですか。とても大事なことなので繰り返します。役員退職金原資が同額なら1社より複数社からもらう方が断然有利なのです。場合によっては手取りの差は“千万単位”になります。そのロジックを今から解説します。このことを知らない社長が大勢いますので、ぜひあなたから教えてあげてください。

2つの役員退職金シミュレーション

ご存知のとおり、「退職所得」には独自の計算式があります。「退職所得」は【分離課税】です。単独の税率が適用されます。つまり、別会社から役員退職金をもらってもその年度の他の所得(他の会社からの役員報酬)とは合算されないということです。このことを踏まえて解説を続けます…

【退職所得の計算式】

  • 退職所得控除 = 勤続20年未満: 70万円 × 勤続年数 ※80万円未満は80万円
  • 退職所得控除 = 勤続20年以上: 70万円 ×(勤続年数-20年)+ 800万円
  • 1/2 課税 =(退職にかかわる収入金額-退職所得)÷ 2
  • 分離課税 = 他の所得と合算されない

役員退職金シミュレーション(1)

具体例を挙げましょう。創業15年の1社から15年後に6,000万円の役員退職金をもらうケースと、創業15年の3社(A 社・B 社・C 社)から5年後、10年後、15年後に 2,000万円ずつ役員退職金をもらうケースとで社長の手取りの変化を比べてみます。(※説明簡略化のため勤続年数端数は切り上げナシ)

結果はご覧のとおり。1社から6,000万円の役員退職金をもらうケースでは退職所得税は8,584,284円です。一方、3社から2,000万円ずつ役員退職金をもらうケースでは退職所得税額は2,650,796円です。なんと、その差は5,933,488円(8,584,284円-2,650,796円)も違ってくるのです。

会社数 1社 3社
退職所得税額 8,584,284円 2,650,796円
差額 ―― 5,933,488円

次のケースも見てみましょう。今度は「新会社」を2社作って役員退職金をもらうパターンです。2社は新設法人です。その2社からの役員退職金については先のシミュレーションと「退職所得税額」が変わってきます。新設会社の役員在任年数が違ってくるからです。

役員退職金シミュレーション(2)

創業15年で15年後に1社から6,000万円の役員退職金をもらうケースと、創業15年のA社が新しくB社とC社を作って、B社から5年後に1,000万円を、C社から10年後に1,500万円を、A社から15年後に3,500万円の役員退職金をもらうケースです。(※説明簡略化のため勤続年数端数は切り上げナシ)

結果はご覧のとおり。1社から6,000万円の役員退職金をもらうケースでは退職所得税は8,584,284円です。一方、新しく会社を2社作って3社からトータルで6,000万円の役員退職金をもらうケースでは退職所得税額は4,817,988円です。このシミュレーションでも3,766,296円も違ってくるのです。

会社数 1社 3社
退職所得税額 8,584,284円 4,817,988円
差額 ―― 3,766,296円

退職所得税額は退職所得税額計算ソフトで計算したものです。本ソフトはコチラよりダウンロードしていただけます。ご存知のとおり、法人保険営業において「退職所得」は提案プランに密接に関わってきます。例えば、提案プランを解約して役員退職金として受け取ると税額はいくらになるのか。本ソフトはその税額計算を一瞬で可能にするものです。

退職金税制の“歪み”を最大限活用する!

“役員退職金原資が同額なら1社より複数社からもらう方が有利”というロジックがお分かりいただけたでしょうか。実際、この退職金税制の“歪み”を最大限活用しているのが、他でもない、役人たちです。彼らは特殊法人や公益法人などを新しく作っては、そこに天下りや渡りを繰り返し、税制上の恩典を受けながら多額の退職金を手にしているわけです。

もちろん、会社を作ると、税理士の顧問料や法人住民税などの会社運営コストはかかります。しかし、忘れてならないのは分社化によって下がるコストもあるということです。

分社化によるメリット

まず法人税です。分社化によって1社あたりの法人課税所得が下がれば、それに比例して1社あたりの税率が下がるケースもあるでしょう。法人税は超過累進課税だからです。

次に消費税です。本体会社からの売上の一部を新会社に移管して、そこでの課税売上を1千万円未満にできれば、新会社はずっと「消費税免税事業者」でいられます。本体会社から約1千万円の課税売上が減ったら圧縮できる消費税額は相当な金額です。会社運営コストを払っても十分オツリが返って来ます。今後、消費税率が10%になればそのインパクトはさらに大きくなるでしょう。

交際費も、少額減価償却資産の特例も会社の数だけ使えます。経営セーフティ共済も会社の数だけ加入できます。そう考えると、デメリットを補って余りあるメリットが生まれるわけです。

率直にいって、オーナー社長がその気になれば分社化なんて簡単です。支店を分社化する。営業エリアで分社化する。商品・サービスで分社化する。営業と事務で分社化する…など、方法はいくらでもあるからです。保険営業マンにとっても、分社化で新会社ができたら、そこにビジネスチャンスが生まれますよね。新会社はまだどこの保険にも加入していないからです。

この記事のまとめ

世の中の大半の社長は“役員退職金原資が同額なら1社より複数社からもらう方が有利”という事実を知らないでしょう。そんな社長にこのカラクリを教えてあげたら、どう思うでしょうか。数百万円も手残りが違ってくる事実を知って無関心でいられる社長がいるでしょうか。

ここであなたに考えてほしいのは、「保険営業マンにとって“本当の商品”とは何か?」ということです。それは、保険会社の商品ラインナップではありません。もしそれが商品だとすれば、誰から加入しても同じ。見込客があなたから加入する「理由」がないことになってしまいます。

では、保険営業マンにとって“本当の商品”とは何なのか?
それは、社長の悩みを「保険」というツールで解決できる“アイデア”です。このアイデアこそ、保険営業マンが本当に売るべきものなのです。だとすれば、です。

その商品(アイデア)は1つよりも2つ、2つよりも3 つあった方が売上アップにつながるのは容易に想像できますよね。ぜひそのような視点で本記事を読み返してみてください。