法人保険営業にも悪影響!?令和6年10月からの経営セーフティ共済の改正

法人保険営業にも悪影響!?令和6年10月からの経営セーフティ共済の改正

令和6年度税制改正大綱により、「経営セーフティ共済」(中小企業倒産防止共済)が改正されます。「経営セーフティ共済」とは国(独立行政法人中小企業基盤整備機構)の共済制度のひとつで、今回の改正は法人保険営業にも影響を及ぼす可能性がありますので、以下にて改正点をポイント解説いたします。

 令和6年度税制改正大綱(p62の(13)を参照)

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経営セーフティ共済のポイント

「経営セーフティ共済」は取引先が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための共済制度です。毎月一定の掛金を積み立てておくことで、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は「損金」(必要経費)に算入できます。

「経営セーフティ共済」についてよくご存じない方はコチラ(中小機構HP)をご覧いただくとして、次のとおり、この共済制度には大きく4つのポイントがあります。このうち令和6年度税制改正大綱により令和6年10月1日に「ポイント#3」と「ポイント#4」の部分が改正されます。

  • ポイント#1.無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入が可能
  • ポイント#2.取引先が倒産後、借入ができる
  • ポイント#3.掛金を損金または必要経費に算入できる
  • ポイント#4.解約手当金が受けとれる

ポイント#3.掛金を損金または必要経費に算入できる

「経営セーフティ共済」の掛金月額は5,000円~20万円の範囲なら5,000円刻みで自由に選べ、払込総額が800万円になるまで積み立てられます。共済契約の期間中は掛金の増額・減額できます。1年分の掛金を全額前払することも可能です。また、掛金は損金(法人)または必要経費(個人事業主)に算入できます。

 経営セーフティ共済の掛金(共済サポートnavi)

ポイント#4.解約手当金が受けとれる

「経営セーフティ共済」を解約した場合は解約手当金を受け取れます。自己都合の解約(任意解約)であっても掛金を12か月以上納めていれば、次の割合で掛金総額が戻ってきます。また、40か月以上納めていれば、理由の如何を問わず、掛金全額が戻ってきます。(12か月未満は掛け捨て)

法人保険営業にも悪影響!?令和6年10月からの経営セーフティ共済の改正

 共済契約の解約(共済サポートnavi)

経営セーフティ共済の節税効果(課税繰り延べ)

「経営セーフティ共済」が中小企業に人気の理由は節税(課税の繰り延べ)にあります。毎月の掛金を「損金」に計上できるのはもちろんですが、今期に大きく利益が出る見通しであれば、1年分の掛金240万円(掛金月額最高20万円×12ケ月分)を前納することもできます。その場合、当期の掛金に加えて前納の掛金も「損金」にできるため、その分だけ当期利益を圧縮(節税)できるわけです。

解約には出口戦略が必要

ただし、「経営セーフティ共済」は共済契約の期間中、掛金を「全額損金」で計上していますので、解約すると解約手当金としてその全額が「雑収入」となり、課税が発生します。従って、「経営セーフティ共済」は実質的には節税効果ではなく、“課税の繰り延べ効果”となります。

この点は全損や1/2損金などの法人保険を解約するときの出口戦略と同じで、解約手当金の満額800万円が戻るタイミングで設備投資や退職金支給などの対策が必要になってきます。

令和6年度税制改正の内容

今回の税制改正では、こうした「経営セーフティ共済」の節税(課税の繰り延べ)活用に「中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について」として国からメスが入りました。具体的には、令和6年10月以後は「経営セーフティ共済」を解約し、再契約をした場合、解約の日より2年を経過する日までの間に支出した掛金は損金または必要経費に算入できないこととなりました。

法人保険営業にも悪影響!?令和6年10月からの経営セーフティ共済の改正

これは短期間で繰り返される解約・再加入という「経営セーフティ共済」の節税(課税の繰り延べ)活用を封じ込めるためです。つまり、令和6年10月以後は「経営セーフティ共済」を解約してから2年間は再加入しても掛金は損金計上できず、掛金はそのまま利益として課税されることになるわけです。

 中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用への対応について(中小企業庁)

この記事のまとめ

「これは国の制度です。掛金は全額損金にできます。皆さん加入しましょう!」として節税(課税繰り延べ)効果を大々的にアピールして加入者を散々集めておきながら、後になって税収が不足しているから「法律を改正したので掛金は損金にできなくなりました…」とやる。

率直にいって、「経営セーフティ共済」に加入している中小企業の大半は節税(課税繰り延べ)効果を期待して契約しています。にもかかわらず、後からそのハシゴを外す。詐欺みたいなやり方です。

いずれにしても、法改正されてしまったものはしようがありません。令和6年9月までは「経営セーフティ共済」を解約・再加入しても掛金は従来どおり「損金」で計上できます。「経営セーフティ共済」に加入していて、この事実を知らない社長がいたら、ぜひ教えてあげてください。現時点で40ケ月以上加入していれば掛金は100%戻って来ますので、おそらく解約・再加入の駆け込み需要が増えることでしょう。