保険営業マンが知っておきたい!役員貸付金の問題点とその5つの解消方法

保険営業が知っておきたい役員貸付金(仮払金)の問題点とその解消方法

オーナー企業では【会社】から【社長】に金銭の貸付を行っているケースが頻繁にあります。帳簿上は「役員貸付金」(仮払金)として計上されている項目です。税務上、「役員貸付金」(仮払金)は何かと問題が起こりやすい勘定科目ですから早急に解消したい経営課題といえます。そこで今回は法人保険を販売するうえで、知っておきたい役員貸付金(仮払金)の問題点とその解消方法について解説します。





役員貸付金(仮払金)にまつわる諸問題

役員貸付金(仮払金)の計上理由は「一時的な役員報酬の代わりとした」「会社では落とせない支払いの立て替えや仮払いをした」など様々です。いずれにしても、です。役員貸付金(仮払金)には会社経営上の諸問題がつきまといます。具体的には次の4つの問題です。

問題点#1.支払利息に法人税がかかる

税務上、会社から社長に対する金銭貸付には「利息計上」が必要とされています。平成30年度の認定利息は 1.6%ですが、それ以前に金銭消費貸借契約を締結しているなら契約締結時の利率になってしまうので、契約を締結し直す必要があります。利息分は収益になりますので、余計な法人税等を負担することになります。

1 役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息について

役員又は使用人に金銭を貸し付けた場合、その利息相当額は次に掲げる利率によります。

(1) 会社が他から借り入れて貸し付けた場合・・・・・・その借入金の利率
(2) その他の場合・・・・・・貸付けを行った日の属する年に応じた次に掲げる利率

  • 平成14年から18年中に貸付けを行ったもの・・・・・・4.1%
  • 平成19年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・4.4%
  • 平成20年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・4.7%
  • 平成21年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・4.5%
  • 平成22年から25年中に貸付けを行ったもの・・・・・・4.3%
  • 平成26年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.9%
  • 平成27年から28年中に貸付けを行ったもの・・・・・・1.8%
  • 平成29年中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.7%
  • 平成30年から令和2年中に中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.6%
  • 令和3年中に中に貸付けを行ったもの・・・・・・・・・・・・・1.0%

役員又は使用人に無利息又は低い利息で金銭を貸し付けた場合には、次の2の場合を除き、上記の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が、給与として課税されることになります。

国税庁タックスアンサー

 No.2606 金銭を貸し付けたとき(国税庁HP)

税法ルールに則って利息を払ったとしても、社長は「税」と「社会保険料」を引かれた手取りから払うことになります。しかし、これは大した問題ではありません。問題は次からです。

問題点#2.いずれは返済しなければいけない

オーナー企業では会社と社長のサイフは一体なので、「返済しなくても問題ない」と考えている社長もいます。しかし、「そうは問屋が卸さない」というのが税務署の見解です。これを許してしまえば、役員報酬を支給してわざわざ税負担する人が誰もいなくなるからです。

問題点#3.踏み倒しは許されない

だったら、「会社が債権放棄すればいいのでは?」「最後は会社を清算してしまえばいいのでは?」と誰もが考えますが、これもまたそう甘くはありません。法人税法では「貸し倒れ損失」を損金算入できるケースが厳しく制限されています。その相手が社長ならなおのことです。

ほぼ間違いなく「役員貸付金=役員賞与」の議論になるでしょう。否認されたら計上した「貸し倒れ損失」は損金不算入で法人の課税対象になります。社長にも所得税や住民税がかかってきます。まさに踏んだり蹴ったりです。また、仮に債権放棄できても、社長個人に対する課税は逃れることができません。社長が税金を払えなければ、今度は債権者が「会社→国」に変わってしまいます。そうなれば取り立てもシビアです。

問題点#4.金融機関からの資金調達が難しくなる

業種・業界によっては金融機関からの借入が事業継続にマストな会社もあります。しかし、帳簿上に「役員貸付金」が多額に計上されていれば、どこの金融機関でも100%問題視します。「役員貸付金」は金融庁の融資マニュアルにも要注意項目として記載されています。よって、金融機関からの借入審査の際に間違いなくマイナス作用が働きます。また、建設業や土木業では経営審査事項の評点に悪影響となるでしょう。

役員貸付金を解消する4つの方法

つまり、役員貸付金(仮払金)は会社にとって“いずれ解決しなければいけない経営課題”だということです。なぜなら役員貸付金(仮払金)を放置しておくことは将来的に社長と会社の手元に残るキャッシュを減らす要因になるからです。ではどうすれば役員貸付金(仮払金)を解消できるのかというと、その解決方法は大きく4つあります。

解決方法#1.役員報酬から返済する

王道は役員報酬から返済する方法です。しかし、この方法では役員報酬から「税」と「社会保険料」を負担した後の“手取り”から返済することになります。手取りが減るのは嫌だからと役員報酬を増額すれば「税」と「社会保険料」の負担がさらに増加してしまいます。

解決方法#2.社長個人の資産を売却する

社長の個人資産を会社に売却し役員貸付金(仮払金)と相殺する方法です。通常、資産を売却すると社長には譲渡所得税がかかります。例えば、社長が自宅を会社に売却して返済するという方法があります。その場合はたいてい自宅売却時に「売却損」が発生するので譲渡所得税をかけずに、自宅の売却代金の中から役員貸付金(仮払金)を返済可能です。しかし、自宅の売却代金を役員貸付金(仮払金)に充当した場合は“単に【会社】に自宅を売却しただけ”で終わってしまうことがあります。

解決方法#3.社長個人が借金して返済する

社長個人が金融機関等から借入を行って役員貸付金(仮払金)を精算します。一昔前に流行った保険を活用した「仮払金精算プラン」などもこの方法です。しかし、この方法では社長個人の負債が増えてしまいます。余計な利息負担も発生します。金融機関から融資を受けたいなどの必要に迫られた理由がない限り、たいていの社長は個人で負債を抱えようとは思わないのではないでしょうか。ちなみに、「小規模企業共済」に加入している場合はその掛金の範囲で「契約者貸付制度」を利用して返済する方法もあります。

解決方法#4.役員退職金で相殺する

もっとも現実的な方法です。役員退職金で役員貸付金(仮払金)を相殺するわけです。もちろん相殺と言っても、実際には社長個人に支払われる退職金ですから退職所得として課税対象にはなります。しかし、退職所得には他の所得にない税制上の恩典があるため低ストで役員貸付金(仮払金)を帳消しできる方法です。この方法では次の2つの選択肢があります。

  • (1)勇退時の退職金で解消する
    勇退時の役員退職金の中から役員貸付金(仮払金)を相殺して会社に返済する方法です。
  • (2)死亡時の退職金で解消する
    死亡時の死亡退職金の中から役員貸付金(仮払金)を相殺して会社に返済する方法です。

いずれも「生命保険」をからめることで、さらに低コストで借金を帳消しにできます。#1~#3の方法と違って「生命保険」なら保険料を経費化して課税を繰り延べながら最後には「退職所得」の優遇税制を活用して役員貸付金を相殺できるからです。ただし、この方法には時間がかかります。退職まで役員貸付金(仮払金)を解消できないからです。また、退職金の受取金額も減ることになります。

この記事のまとめ

以上、役員貸付金(仮払金)を解消する4つの方法をご紹介しました。いずれの方法にもデメリットがあります。ところが、です。#1~#4の方法のデメリットなしに役員貸付金(仮払金)を解消できる方法があるのです。それが『社会保険料劇的削減プラン』を活用して役員貸付金(仮払金)を解消する方法です。

実行手順はいたって簡単。次の3ステップです。

STEP 1
社会保険料劇的削減プランを導入する

STEP 2
会社→社長に名義変更→解約して現金化する

STEP 3
現金化した解約返戻金で役員貸付金を返済する

解決方法#5.『社会保険料劇的削減プラン』で解消する

では、なぜそんなことが可能なのか。その理由は『社会保険料劇的削減プラン』がもたらす2つの効果によるものです。『社会保険料劇的削減プラン』は法人保険を活用して「社会保険料」を削減するプランです。しかし、役員貸付金(仮払金)を解消する【切り口】でもアプローチできるプランでもあります。

効果#1.余計な社会保険料負担が発生しない

役員貸付金(仮払金)の解消方法では【解決方法#2:社長個人の資産を売却する】と【解決方法#3:社長個人が借金して返済する】はレアケースです。たいていは【解決方法#1:役員報酬から返済する】か【解決方法#4:役員退職金で相殺する】かの二択を迫られます。しかし、この方法では【解決方法#1:役員報酬から返済する】と違って余計な社会保険料を負担せずに役員貸付金(仮払金)を解消できます。

効果#2.退職せずとも現金化できる

さらに、この方法では【解決方法#4:役員退職金で相殺する】とも違って、退職せずとも役員貸付金(仮払金)を解消できるのです。立ち上がりの早い「逓増定期保険」などに加入し「法人→社長」に名義変更後、解約すれば役員貸付金(仮払金)を5年程度で解消できるでしょう。もちろん、退職金も減りません。

役員貸付金(仮払金)を計上しているオーナー企業は意外と多いものです。冒頭のとおり、役員貸付金(仮払金)はいずれ解消しなければいけない経営課題です。その経営課題を『社会保険料劇的削減プラン』によってぜひ解消してあげてください。