法人保険で社長の社会保険料を削減する①~過去10年間の社会保険料推移

法人保険で社長の社会保険料を削減する①~過去10年間の社会保険料推移

今回は法人保険の活用による社会保険料削減をテーマにします。現在の社会保険料率は以下のとおり。会社の財布も社長の財布も表裏一体のオーナー企業では社長の社会保険料は会社負担も自己負担しているのと同義です。そう考えると、社長は報酬の「3割」を社会保険料に徴収される計算になります。

平成30年3月分(4月納付分)からの社会保険料
※健康保険・介護保険・厚生年金は東京都協会けんぽ保険料率
社会保険会社負担本人負担労使合計
健康保険4.950%4.950%9.900%
介護保険0.785%0.785%1.570%
厚生年金9.150%9.150%18.300%
合計14.885%14.885%29.770%




過去10年間の社会保険料推移

まだあります。以下は【過去10年間の社会保険料推移】です。こうして時系列のデータを眺めると、社会保険料は凄まじい勢いで上がっていると分かるのではないでしょうか。この10 年間で5.090%の上昇です。実感が湧かない方はご自身の年収にこの数字を掛けてみてください。

過去10年間の社会保険料推移
※健康保険・介護保険・厚生年金は東京都協会けんぽ保険料率
年度健康保険介護保険厚生年金労使合計
平成20年8.200%1.130%15.350%24.680%
平成22年9.320%1.500%16.058%26.878%
平成24年9.970%1.550%16.766%28.286%
平成26年9.970%1.690%17.474%29.134%
平成28年9.960%1.580%18.182%29.722%
平成30年9.900%1.570%18.300%29.770%
数年後に起こりえる事態今より料率が  3%上がる …32.770%
今より料率が  5%上がる …34.770%
今より料率が  7%上がる …36.770%
今より料率が10%上がる …39.770%

上記では「健康保険」と「介護保険」は平成26年以降下がっているように見えます。しかし、その背景にはトリックが隠されています。平成28年4月から「健康保険」と「介護保険」の報酬月額上限が引き上げられているからです。つまり、報酬月額123.5万円以上の社長は保険料が軒並みアップしており、最大で労使合計247,752円(年)もの負担増になっている社長もいるのです。

~平成28年3月平成28年4月~
47等級月額117.5万円以上(上限)47等級月額117.5万円〜123.5万円未満
48等級月額123.5 万円〜129.5万円未満
49等級月額129.5万円〜135.5万円未満
50等級月額135.5万円以上(上限)

国はあの手この手で保険料徴収額の引き上げを図っている!

ご存知のとおり、我が国の社会保険の財源は深刻化しています。そして、その財源確保のため厚労省は社保未加入企業の取り締まりに躍起になっています。その成果でしょう。厚労省による取り締まりで社保に強制加入させられる会社が急増しました。その数なんと、5年間で19倍です。

加入指導により適用事業所になった事業者数
平成22年4,808社平成28年92,550社

参考:厚生労働省『厚生年金保険の適用促進対策について

厚労省はさらに取り締まりを加速させる方針です。平成29年3月29日、次に挙げる業種を重点的に指導するとしています。(※建設業は先発して加入指導強化が図られています)

  •  飲食店営業
  •  食品製造業
  •  理容業・美容業
  •  社会福祉事業
飲食業・理美容業に社保加入督促を強化!

厚生労働省は来年度から厚生年金に加入していない企業への督促対策を強化する。保健所などの窓口に事業許可の申請に来た際に加入状況を確認する対象業種に飲食業理容業を加える。未加入の場合は日本年金機構に通報する。国税庁から納税情報の提供を受ける回数も年2回から大幅に増やす。厚生年金の加入を促し、老後の生活の安定につなげる。

すでに厚労省は国土交通省と協力し、建設業の許可・更新時に社会保険の加入状況を確認する取り組みを進めている。指導しても加入しない場合は年金機構に通報し、機構が個別に訪問して加入を促している。

今回は取り組みの対象を飲食業や理容業にも広げる。両業種は他業種に比べて厚生年金の加入が進んでいないため、対策を強化する。厚労省と年金機構は国税庁から源泉徴収義務がある企業の情報提供を受け、厚生年金の未加入企業の調査を進めている。現在は年2回だが、来年度から大幅に増やす。29日に開く社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会でこうした対策の内容を示す。

厚生年金の適用事業所数は大幅に増えている。この5年間で約50万事業所が新たに加入し、昨年9月末時点で初めて200万事業所を超えた。未加入業者への対応は進んでいるが、年間10万件規模で増える新設の事業所の加入促進対策が課題になっていた。

日本経済新聞(2017.3.29)

上記記事のとおり、日本年金機構は国税庁が保有する納税情報をもとに社会保険未加入事業所をリストアップし、督促を強化しています。現状では社保未加入会社は約80万社あるといわれています。平成27年以降、この約80万社に対して日本年金機構は厳しい指導を開始しています。もしこの指導に従わなければ立ち入り検査が実施され、社保未加入会社はそこで強制加入させる方針です。

このように国は料率改定をせずとも、あの手この手で保険料徴収額の引き上げを図ってきます。我が国の少子高齢化は深刻化しています。それが5%になるのか、10%になるのか分かりませんが、近い将来において今よりも確実に保険料率も上がっていくでしょう。

この記事のまとめ

今も昔も、中小企業は少しでもキャッシュアウトを抑えようと積極的に「節税」に取り組みます。しかし、社会保険料の「削減」となると、知識不足で具体的な対策を講じないまま、義務感のみで支払い続けている企業が多いのが実情です。ところが、中小企業にとって社会保険料は税金よりも重い負担です。

というのも、法人税は赤字ならば課税対象外になりますが、社会保険料は利益とは関係なく、たとえ赤字でも負担しなければならない制度だからです。よって、すべからく中小企業の社長は社会保険料の重い負担でアタマを抱えています。ここに保険営業マンとしての大きなビジネスチャンスがあります。