従業員の社会保険料削減アイデア②~中退共を使って社会保険料を削減する方法

従業員の社会保険料削減アイデア②~中退共を使って社会保険料を削減する方法

今回は「中小企業退職金共済制度」(以下、中退共)で従業員の社会保険料を削減する方法をご紹介します。ご存知のとおり、中退共は中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。中退共のポイントは大きく3つあります。

  • 掛金月額は5,000円~30,000円(全額法人負担)
  • 掛金は全額経費(福利厚生費)
  • 退職金は従業員に直接振込




中小企業にとっての中退共のメリット

中退共の3つのポイントのうち「3.退職金は従業員に直接振込」という制限があるゆえ、多くの社長は中退共の導入を躊躇するのですが、モ ノは考えようです。実は、中退共は従業員の退職準備金としてはもちろん、掛金が全額経費となり節税の効果がある ほか、使い方によっては社会保険料の削減にも役立つからです。

さらに、中退共には中小企業にとって以下のメリットもあります。

新規加入助成

掛金月額の2分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間にわたって国が助成してくれます。例えば、新規で1万円加入した場合は6万円(5,000 円×12ヶ月)を国から助成してもらえるわけです。

月額変更助成

掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額した場合は増額分の3分の1を増額月から1年間にわたって国が助成してくれます。

自治体の助成(※自治体によって異なる)

例えば、神奈川県平塚市の場合は以下の助成をしてくれます。

平塚市の中小企業退職金共済掛金補助制度

平塚市では、中小企業の従業員の福祉の向上と中小企業の振興を図るため、独立行政法人勤労者退職金 共済機構が実施する「中小企業退職金共済法」に基づく「中小企業退職金共済制度」及び平塚商工会議所 が実施する「所得税法施行令第73条」の規定に基づく「特定退職金共済制度」に加入している事業主に対し、 掛金の一部を補助します。

  • 補助対象者:市内で1年以上継続して事業を営んでいる事業者。(市税を完納していること) ※ただし、適格退職年金制度からの移行者は除きます。
  • 補助金額:被共済者1人につき、月額掛金3,000円を限度として、その15%の額(月額450円)
  • 補助期間:新規に共済契約を締結した月から3年間

このように各自治体から手厚く助成してもらえるわけですが、要するに、「従業員の月額給与の一部を中退共に充当すると、労使ともにメリットのある形で、社会保険料を削減できますよ!」という話です。

従業員の社会料保険料削減ツールとしての中退共

社会保険料は月額給与に比例して上昇していきます。逆に考えると、月額給与を下げないと、社会保険料は削減できないわけです。しかしながら、単純に月額給与を下げてしまえば、従業員のモチベーション低下につながるでしょうし、不利益変更となって面倒なことにもなりかねません。そこで、そうした法人と従業員にとってのトレードオフを解消するツールとして、中退共を活用するわけです。

従業員の社会保険料削減アイデア②~中退共を使って社会保険料を削減する方法

例えば、 月額給与35万円の場合で考えてみましょう。月額給与を減らしてその分で月額30,000円を中退共に充当すると、 ご覧のとおり、労使合計で①-②=142,896円の社会保険料削減につながります。

月額給与 月額35万円 月額32万円
社会保険 法人 個人 法人 個人
健康・介護 20,646円 20,646円 18,352円 18,352円
厚生年金 32,940円 32,940円 29,280円 29,280円
負担(月) 53,585円 53,585円 47,632円 47,632円
負担(年) 643,032円 643,032円 571,584円 571,584円
労使(年) 1,286,064円 … ① 1143,168円 … ②

法人と従業員それぞれのメリット

従業員の社会料保険料削減ツールとしての中退共を導入した場合のメリットを見ていきましょう。ここでの法人のメリットは、

  • (1)社会保険料を削減できる(年額71,448円)
  • (2)助成が受けられる(国:年間60,000円+自治体:16,200 円)

一方、従業員のメリットは、

  • (1)社会保険料を削減できる(年額71,448円)
  • (2)所得税・住民税の軽減
  • (3)中退共の掛金は予定利率1%で増える

つまり、同じ35万円の支出でも、法人にとっては社会保険料の削減額と助成額がそのままメリットにつながり、従業員にとっては月額給与こそ下がるものの、中退共の積立金は従業員の「固有資産」になるわけですから、最終的な手元キャッシュが増えるというメリットがあるわけです。

また、従業員の月額給与を下げずとも、各種手当の一部を中退共に振り替える方法もアリでしょう。いずれにしても、そうやって削減した社会保険料は従業員が大勢いれば決して無視できない金額になります。

導入手続きについて

導入手続きは簡単です。中退共に未加入企業なら新規加入することになりますので、まず新規加入の手続きを済ませます。既加入企業なら掛金増額で対応することになります。その場合は増額手続きを済ませます。中退共を使って従業員の社会保険料を削減する方法では額面上の年収を引き下げることになります。

そこで後々トラブルにならないよう、書面による同意を取っておいた方が良いでしょう。同意を取る際には、従業員の理解を得られるように面談などで説明をし、以下のような同意書を書いてもらいます。

平成 28 年*月*日

*****株式会社
代表取締役 ****殿

退職金制度導入に伴う給与改定に関する同意書

私は、退職金制度導入に伴う給与改定について、会社より説明を受け、その内容を十分に理解したうえで、制度変更に同意します。

所属 ***部***課
社員氏名 **** 印

まとめ

以上、ここでご紹介した従業員の社会保険料削減対策は法人と個人の支出は1円も変えず、社会保険料だけを削減できるものなので、興味を社長も多いはずです。今ご説明したとおり、実行にあたってハードルもさほど高くはありません。営業先の社長にぜひ教えてあげてください。

さて、中小企業にとって社会保険料の負担は大きな悩みのひとつです。とりわけ、「社長のサイフ」と「会社のサイフ」が表裏一体のオーナー企業にとっては深刻です。法人と個人の社会保険料を合算すると、労使合計29.77%もの負担にもなるからです。実に報酬の3割は社会保険料に徴収される計算です。

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