保険営業マンが知っておくべき!令和6年10月からの社会保険適用範囲の拡大

保険営業マンが知っておくべき!令和6年10月からの社会保険適用範囲の拡大

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金制度改正法)が成立しました。その中で被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲が段階的に拡大されるようになりました。直近では2022年10月から社会保険適用範囲が従業員数500人超(501人以上)の企業から従業員数100人超(101人以上)の企業へと拡大され、2024年10月にさらに適用範囲が拡大されます。

 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました(厚生労働省)

 無料E-BOOK 
社長に保険を売る方法
獲得保険料“10億円”超の成功ノウハウ公開!社長が断れない法人保険販売の新手法をお教えします…
法人保険営業でダントツの成果を上げたいなら、このE-BOOKはまさにあなたのためのものです。ライバルが知らない法人保険営業の秘訣をあなたは知ることになるでしょう。





社会保険の適用範囲拡大

まずは社会保険の加入条件を見ていきましょう。株式会社、合同会社、医療法人など「法人格」を有する事業所は従業員の人数を問わず、たとえ社長1 人だけの会社でも、社会保険の「強制適用事業所」となります。そのうえで、現在の社会保険の加入条件は次のとおりです。

  1. 75歳未満の会社の代表者、役員、従業員等
  2. 70歳未満で週の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が常時雇用者の3/4以上の人
  3. 以下のすべてに該当する短時間労働者
    • 従業員数101人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している ※
    • 1週間の所定労働時間が20時間以上
    • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
    • 学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
    • 月額の賃金が8.8万円を超える

上記「C」のうち、2024年10月からは“従業員数101人以上の事業所(特定適用事業所)”という部分が “従業員数51人以上の事業所(特定適用事業所)”に改正されます。

社会保険の適用範囲拡大スケジュール

次のように法改正によって、2022年10月、及び2024年10月からパート・アルバイト、派遣社員については、段階的に社会保険の加入義務化の範囲が広がっています。

社会保険の適用範囲拡大(改正点)
改正内容2016年10月~2022年10月~2024年10月~
従業員数501名以上101名以上51名以上
週の所定労働時間20時間以上
雇用期間(見込み)1年以上2ケ月以上
賃金(月額)88,000円以上(年収106万円以上)
職業学生以外

社会保険の適用範囲拡大が及ぼす影響

こうした社会保険適用範囲の拡大は従業員・企業ともに影響を及ぼします。まずは従業員に及ぼす影響について見ていきます。とりわけ、夫の扶養などに入っているパート・アルバイトは社会保険適用範囲の拡大によって、いわゆる「年収の壁」(扶養の壁)の問題に直面することになります。

税・社会保険料の負担と「年収の壁」(扶養の壁)

「年収の壁」(扶養の壁)について説明を加えておきましょう。よく言われるところの「年収の壁」(扶養の壁)には被扶養者の年収によって「103万円」「106万円」「130万円」の3段階あります。

税・社会保険料の負担と「年収の壁」(扶養の壁)
被扶養者の年収住民税所得税社会保険料
100万円未満×××
100万円超103万円以下××
103万円超106万円以下×
106万円超130万円以下
130万円超
上記のうち2024年10月からの社会保険適用範囲の拡大で影響を受けるのが「△」で記した「106万円の壁」です。現在は従業員数101人以上の事業所に勤務する短時間労働者のみ年収106万円を超えると社会保険料を負担することになっています。しかし、2024年10月からは従業員数51名以上の事業所に勤務する短時間労働者にもその対象が拡大されることになるからです。

企業に及ぼす影響は?

2024年10月から従業員数51名以上の事業所に社会保険適用範囲の拡大されることで、新たに65万人がその対象となるとされています。社会保険料は労使折半です。従って、その65万人の社会保険料はいずれも企業が「半分」を負担することになります。

厚生労働省の試算によれば、社会保険の適用拡大により、短時間労働者が社会保険に加入した場合、年間で1人当たり約26万円(40歳未満は24.5万円)増加するとされています。社会保険の加入義務が生じる短時間労働者が10名いたら、年間で約260万円(約245万円)の負担増です。こうしたコスト増が2024年10月から重くのしかかってくるわけですから、該当企業にとっては大問題でしょう。

(参考)年収の壁・支援強化パッケージ

こうした背景を受けて、国は「年収の壁・支援強化パッケージ」という、その場しのぎ(2023年10月から2年間の期間限定)の“助成金制度”を用意しています。具体的には「106万円の壁」「130万円の壁」を超えて働いても手取りが減らないようにするための施策です。

  • 「106万円の壁」対策:従業員の手取りを増やすなどした企業に1人当たり最大50万円
  • 「130万円の壁」対策:労働時間の延長などを行った企業に1人当たり30万円

 年収の壁・支援強化パッケージ(厚生労働省HP)

この記事のまとめ

以上が保険営業マンが知っておくべき!令和6年10月からの社会保険適用範囲の拡大です。ご存知のとおり、我が国の社会保険財政は危機的状況です。社会保険制度のデフォルトを回避するためには、遅かれ早かれ抜本的な制度改革が必要ですが、その改革は政治的にきわめて困難なテーマです。

それゆえ、国は何ら抜本的な改革を行うことなく、今回のような社会保険適用範囲の拡大をはじめとして、次のようにあの手この手で保険料の徴収機会を増やし制度の延命措置を図ろうとしています。

  • 保険料率の改定
  • 等級の新設
  • 報酬月額上限の引き上げ
  • 年金受給額の引き下げ
  • 消費税の増税

しかし、いずれもその場凌ぎの“付け焼刃”の対策でしかありません。少子高齢化により、この先も保険料を負担する人は減り続ける一方で、給付を受ける人は増え続けるからです。

国が問題を先送りしている限り、問題が解決されることはありません。ならば、こちらも国から不当な搾取をされないために「自衛手段」を講じる必要があります。中小企業にとって、そのための「自衛手段」のひとつが、『社会保険料劇的削減プラン』です。これは保険営業マンにしか提案できない実務ノウハウです。ぜひこのノウハウを使って、悩める中小企業の社長を救ってあげてください。