令和6年1月19日に総務省が「令和5年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指標)を公表しました。これを受けて令和6年4月より年金額の改定が行われます。今回の改定では社長に保険を売るうえで必ず知っておきたい内容も含まれています。そこで今回は保険営業マンが知っておくべき!令和6年度の年金額、及び国民年金保険料の改定をテーマにします。
令和6年度の老齢基礎年金額
令和6年度の年金額は法律の規定に基づき、前年度から2.7%の引き上げとなりました。これは直近30年で過去最高の上げ幅です。過去3年の老齢基礎年金(満額受給額)を比較すると、次のようになります。
対象 | R4年度の満額受給額 | R5年度の満額受給額 | R6年度の満額受給額 |
新規裁定者(67歳以下) | 780,900円 | 795,000円 | 816,000円 |
既裁定者(68歳以上) | 780,900円 | 792,600円 | 813,700円 |
しかし、労働者数の減少と平均余命の伸びを踏まえて給付額を抑える「マクロ経済スライド」が発動され、抑制分の0.4%分が差し引かれ、プラス2.7%の改定となっています。ちなみに、今回の年金額の改定率(+2.7%)は物価の変動率(+3.2%)よりも低いので、実質的な価値は目減りすることになります。
なお、老齢基礎年金額の改定は令和6年4月1日から行われますが、年金受給は偶数月になるため、実際の増額改定は6月14日※の年金受給(4月分・5月分の2ヶ月分)からになります。(※6月15日が土曜日のため)
令和6年度・令和7年度の国民年金保険料
国民年金保険料は平成 16 年の年金制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29 年度に上限(平成16 年度水準で16,900 円)に達し、引上げが完了しています。
そのうえで、次世代育成支援のため、平成 31 年4月から国民年金第1号被保険者(自営業など)に対して産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、令和元年度分より平成16 年度水準で保険料が月額100 円引き上がり法律上の保険料は17,000 円となりました。
ただし、実際の保険料額は平成16 年度水準を維持するため、国民年金法第87 条第3項の規定により名目賃金の変動に応じて毎年度改定され、令和6年度、令和7年度の保険料額は以下のとおりになります。
内訳 | R5年度 | R6年度 | R7年度 |
法律上の保険料 | 月額17,000円 | 月額17,000円 | 月額17,000円 |
実際の保険料 (前年度との比較) | 月額16,520円 (-70円) | 月額16,980円 (+460円) | 月額17,510円 (+530円) |
令和6年度の在職老齢年金の支給停止基準額
厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことを「在職老齢年金」といいます。「在職老齢年金」では年金月額(基本月額)と報酬月額(総報酬月額相当額)の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止になります。この一定額を支給停止基準額といいます。
令和6年度から支給停止基準額も増額改定されます。令和4年度の支給停止額は47万円、令和5年度の支給停止基準額は48万円でしたが、令和6年度の支給停止基準額は50万円となり、「2万円」増額改定されます。
R4年度 | R5年度 | R6年度 |
支給停止基準額47万円 | 支給停止基準額48万円 | 支給停止基準額50万円 |
なお、令和6年度の年金増額改定により、「在職老齢年金」の支給停止基準額50万円が適用されるのも令和6年6月14日支給分(4月分・5月分の2ヶ月分)の年金からになります。(※支給停止基準額は令和7年度以降も年度によって「1万円」単位で改定されることがあります)
この記事のまとめ
以上、保険営業マンが知っておくべき!令和5年度の年金額改定をポイント解説です。とりわけ、「在職老齢年金」の改定は重要です。というのも、現役で活躍中の60代社長の大半は収入があるがゆえ、「在職老齢年金」が全額支給停止あるいは減額になっているからです。
令和6年度から年金月額と報酬月額の合計額が「50万円」を超えると、本来もらえるはずの年金が全額支給停止あるいは減額になります。ここで支給停止あるいは減額になった年金は“二度と戻ってこない年金”です。これまでずっと高額な保険料を払うだけ払って、いざ年金を受け取ろうとしたら、収入があるから受け取れない。これが「在職老齢年金」という制度です。
では、どうすればいいのか?
社長に保険を売るうえで「在職老齢年金」の知識は必須といえます。以下の記事を参考に「在職老齢年金」とその問題解決策への理解を深めておきましょう。