実は、2019年3月よりこっそりと介護保険料率が引き上げになっています。例えば、東京都・協会けんぽの場合では昨年1.570%だったものが1.730%に上昇しています。「都道府県毎の保険料額表」で確認すれば、他の道府県でも似たような数値でアップしているはずです。
ご存知のとおり、2019年10月から消費税が10%に引き上げられる予定です。この話題について日本国民でもはや知らない人はいないでしょう。10月間近になれば、国会やメディアでも大騒ぎになるはずです。このように「増税」のニュースは「賛成だ」「反対だ」と非常に高い関心を引きます。
その意味では「増税」というのは「見える増税」です。しかし、その一方で、「見えない増税」というのもあります。それが、「社会保険料の引き上げ」です。
国は「見えない増税」を断行継続中!
社会保険料の引き上げについては過去には次のような段階的引き上げがなされてきたのにも関わらず、「増税」ほど世間の関心を引きません。報酬(給与)として、もらった「後」のお金が減るか。もらう「前」のお金が減るか。本質的には消費税増税と同じなのに、です。
※健康保険・介護保険・厚生年金は東京都協会けんぽ保険料率
年度 | 健康保険 | 介護保険 | 厚生年金 | 労使合計 |
平成20年 | 8.200% | 1.130% | 15.350% | 24.680% |
平成22年 | 9.320% | 1.500% | 16.058% | 26.878% |
平成24年 | 9.970% | 1.550% | 16.766% | 28.286% |
平成26年 | 9.970% | 1.690% | 17.474% | 29.134% |
平成28年 | 9.960% | 1.580% | 18.182% | 29.722% |
平成30年 | 9.900% | 1.570% | 18.300% | 29.770% |
平成31年 | 9.900% | 1.730% | 18.300% | 29.930% |
上記では「健康保険」と「介護保険」は平成26年以降下がっているように見えます。しかし、その背景には平成28年4月からの「健康保険」と「介護保険」の報酬月額上限が引き上げがあります。報酬月額123.5万円以上は保険料が軒並みアップしており、最大で労使合計247,752円(年)もの負担増になっているのです。
~平成28年3月 | 平成28年4月~ | ||
47等級 | 月額117.5万円以上(上限) | 47等級 | 月額117.5万円〜123.5万円未満 |
48等級 | 月額123.5 万円〜129.5万円未満 | ||
49等級 | 月額129.5万円〜135.5万円未満 | ||
50等級 | 月額135.5万円以上(上限) |
では、なぜ社会保険料の引き上げはさほど関心を集めないのか?
その理由は大きく2つ。ひとつは社会保険料の引き上げに国会の議決は「不要」である点。ひとつは社会保険料は天引きされており、「気づけば保険料が上がっていた」という事態になっている点です。このことを逆手にとって国はジリジリと確実にその負担割合が引き上げ続けているのです。
つまり、ここ数十年にわたって国は「見えない増税」を断行継続中だということです。
一説によると、我が国の年金制度を2050年までもたせるには支給額を42%カットするか、今よりも保険料を35%引き上げる必要があるといわれています。さらに団塊の世代が後期高齢者になる2025年以降は医療費も激増します。そうなると、社会保険料を上げなければ、消費税率は30%以上になるともいわれています。
バカは騙されて損して負け続ける
我が国の年金制度は現役世代の「保険料」を高齢世代の「年金」として仕送りする「賦課方式」です。しかし、少子高齢化で現役世代が減り、高齢世代が増えれば、仕送りする「保険料」が減る一方で、受け取る「年金」が増えるのは当然のこと。この先その“乖離額”はますます大きくなりますので、そう遠くない将来に年金財政が“破綻”するのは自明の理です。
ところが、この自明の理に対して、国は何ら抜本的な改革を行うことなく、わずかな保険料率引き上げや年金受給額の引き下げ、それに数%の消費税増税でその場をやり過ごそうとしています。しかし、そんな小手先の対策ではこの問題を解決できないのは小学生でも分かることです。
結局、そのシワ寄せは国民に跳ね返ってきます。いずれにしも、です。我が国の年金財政はいずれパンクするでしょう。それが分かっているのに、国に言われるがまま高額な保険料を負担するのはアホらしい。「年金は世代間の助け合い」と言うけれど、それなら今の現役世代を助けてくれる救世主はどこにいるのか。
国が問題を先送りしている限り、そんな救世主が現れるわけがない。ならば、こちらも国民として最低限の“義務”のみを果たせばいい。これがオーナー企業の社長である僕の本音です。
面倒臭がってばかりいる奴らは、一生騙されて高い金払わされ続ける。
いいか、お前ら。社会にはルールがある。その上で生きていかなくてはならない。だがな、社会のルールってのはすべて頭の良い奴が作っている。つまりどういうことか。そのルールは頭の良い奴に都合のいいように作られてるんだ。逆に都合の悪いところは分からないように隠してある。
それでも頭を働かせるやつはそこを見抜いてルールを上手に利用する。例えば、税金。年金。保険。医療制度。給与システム。みんな、頭の良い奴がわざと分かり難くして、ろくに調べもしない頭の悪い奴らから多く採ろうという仕組みにしている。
つまり、お前らみたいに、頭を使わず、面倒臭がってばかりいる奴らは、一生騙されて高い金払わされ続ける。賢い奴は、騙されずに得して勝つ。バカは騙されて損して負け続ける。これが、今の世の中の仕組みだ。
By 『ドラゴン桜』(三田紀房著)
この記事のまとめ
実際に僕はそうした自分の考えとコンサルノウハウを反映させた「実務コンテンツ」を作っています。決して少なくない中小企業の社長が僕の考え方に共感してくれると確信しているからです。詳細は以下をご覧になってください。これはあなたを社長の“救世主”にする方法です。