2020年9月(10月納付分)より厚生年金保険料が引き上げられました。今回その対象になるのは月収63.5万円以上の被保険者。つまり、法人保険のターゲットである、社長の大半は保険料がアップした、ということです。そこで、今回の制度改正も含めて、『過去10年間の社会保険料推移』をまとめた一覧表を本ページの最後でダウンロードできるようにしておきました。ぜひ営業活動でお役立てください。
厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定
厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令(令和2年政令第246号)が令和2年9月1日に施行され、令和2年9月(10月納付分)から厚生年金保険の標準報酬月額の上限が変更になりました。この改正により、厚生年金保険料は従前の標準報酬月額の上限等級(31等級・62万円)の上に1等級(32等級・65万円)が追加され、保険料の上限が引き上げられました。
厚生年金保険における標準報酬月額の上限の改定(日本年金機構HP)
月収63.5万円以上は年65,880円の保険料上昇
これまで厚生年金は「31等級」が上限で、月収605,000円・労使保険料113,460円が頭打ちでした。ところが、今回の改正で「32等級」という新等級が追加され、労使保険料118,950円が上限となったわけです。これにより、月収635,000円以上の被保険者は労使保険料5,490円(年65,880円)の負担増になっています。
2020年9月 ~ | |||
等級 | 標準報酬 | 報酬月額 | 労使保険料 |
31 | 620,000円 | 605,000円~ | 113,460円 |
32 | 650,000円 | 635,000円~ | 118,950円 |
固定された保険料の詐欺的な引き上げトリック
そもそも厚生年金については2004年から 2017 年まで段階的に保険料率が引き上げられ、その後は18.300%で固定されたはずでした。ところが、国は保険料率を引き上げる代わりに、高額所得者をターゲットに「等級」を追加するというトリックで実質的な負担増を強いてきます。今回は厚生年金でしたが、4年前(2016年4月)にも、国は同じトリックを健康・介護保険の保険料でも使っています。
~ 2016年3月 | 2016年4月 ~ | ||
47等級 | 月額117.5万円以上(上限) | 47等級 | 月額117.5万円〜123.5万円未満 |
48等級 | 月額123.5 万円〜129.5万円未満 | ||
49等級 | 月額129.5万円〜135.5万円未満 | ||
50等級 | 月額135.5万円以上(上限) |
このように国は料率改定をせずとも、あの手この手で保険料徴収額の引き上げを画策してきます。しかしながら、社会保険料の改定は「増税」ほど世間の関心を引きません。その理由は大きく2つ。
- 社会保険料の引き上げに国会の議決は不要だから
- 社会保険料は給与天引きなので負担増が気付かれにくいから
このことを逆手にとって国はジリジリと確実にその負担割合を引き上げ続けています。つまり、ここ数十年にわたって国は「見えない増税」を断行継続中だということです。
過去10年間の社会保険料推移
以下は【過去 15 年間の社会保険料推移】です。こうしてデータを眺めると、毎年確実に社会保険料は上がっていると分かるでしょう。この10年間で3.062%も保険料率は上昇しています。さらに、こうした保険料率の上昇に加えて、先述のとおり、2016年には健康・介護保険の保険料上限(47等級から50等級へ)引き上げを、2020年に厚生年金の保険料上限(31等級から32等級へ)を引き上げているわけです。
年度 | 健康保険 | 介護保険 | 厚生年金 | 労使合計 |
2010年 | 9.340% | 1.500% | 16.058% | 26.898% |
2011年 | 9.480% | 1.510% | 16.472% | 27.462% |
2012年 | 9.970% | 1.550% | 16.766% | 28.286% |
2013年 | 9.970% | 1.550% | 17.120% | 28.640% |
2014年 | 9.970% | 1.720% | 17.474% | 29.164% |
2015年 | 9.970% | 1.580% | 17.828% | 29.378% |
2016年 | 9.960% | 1.580% | 18.182% | 29.722% |
2017年 | 9.910% | 1.650% | 18.300% | 29.860% |
2018年 | 9.900% | 1.570% | 18.300% | 29.770% |
2019年 | 9.900% | 1.730% | 18.300% | 29.930% |
2020年 | 9.870% | 1.790% | 18.300% | 29.960% |
過去10年間の年収別・社会保険料推移
こうした社会保険料の引き上げで、もっともダメージを被ったのは中小企業の「オーナー社長」といえるでしょう。なぜなら、オーナー社長は社会保険料の会社負担も自己負担と同義といえるからです。例えば、過去10年間で年収1800万円の社長は社会保険料が最大21.9%・年間606,516円も増加しているのです。
年度 | 健康・介護 | 厚生年金 | 合計 |
2010年 | 1,571,064円 | 1,194,708円 | 2,765,772円 |
2020年 | 1,944,888円 | 1,427,400円 | 3,372,288円 |
増加額 | 373,824円 | 232,692円 | 606,516円 |
増加率 | 123.8% | 119.5% | 121.9% |
この記事のまとめ
世の中の社長は「増税」については敏感に反応します。その一方で、社会保険料となると、保険料の上昇について漠然とは認識してはいますが、「具体的にどれだけ上昇しているのか?」まで把握していないのが実状です。しかし、そんな社長でも「過去10年間の年収別・社会保険料推移表」を見れば、「いかにハイペースで社会保険料が上昇し続けているか?」が一目瞭然で分かるようになります。
そして、「このままではマズい。今すぐ何とかしなくては…」と問題意識を持ってくれるはずです。そうなったとき、あなたが問題解決策を持っていたなら、どうでしょう。「詳しく聞かせてよ!」と、社長は興味を持ってくれると思いませんか。あなたの話に真剣に耳を傾けてくれると思いませんか。
今回のような制度改正は保険営業マンにとって大きなビジネスチャンスです。保険料アップする該当者は皆一様に“自分事”と捉えてくれるからです。とりわけ、『社会保険料劇的削減プラン』は絶好の販売チャンスです。オーナー社長の多くは保険料アップになるからです。もしもあなたがご購入者であれば、このチャンスを逃す手はありません。もしあなたが未購入者ならこのチャンスをぜひ活かしてください。