前回の続き「法人保険営業の成果を最大化する仕組みの作り方」を解説していきます。【step.01】は「新規開拓」です。すべてのビジネスは「見込客」を集めることからスタートします。保険営業も同様です。具体的には、まずは【今すぐ保険に加入してくれる見込客】と【そのうち保険に加入してくれる見込客】を集めます。次に、その両者(見込客)を“リスト化”します。これが最初の一歩です。
“リスト化”とは見込客の個人情報(企業情報)をリスト管理することを意味します。会社名・代表者名・連絡先(住所・電話・FAX・E-mail)など、次の販売ステップにつなげるために、いつでもあなたが見込客とコンタクトを取れる状態にしておくのが“リスト化”の目的です。
そのうえで、あなたが【step.01】で取り組むべき6つのリストです。
結局のところ、見込客リストの数が売上を決定しますので、その数は多いほど良いことになります。問題は「どうすればたくさんの見込客を集められるのか?」ということですが、ポイントはひとつです。保険という「商品」(×)でなく、見込客の「悩み」(○)にフォーカスすることです。
社長が保険に加入しようと決断するのはなぜか?
それは、今抱えている悩みを解決するためです。ところが、ここを理解していないと、新規開拓はうまくきません。要は、社長が欲しくないものを売ろうとしても“話を聞いてもらえない”ということ。「社長、保険を見直しませんか?」とアプローチしても撃沈するのは、そんなことで社長は悩んでいないからです。
中小企業の社長の悩みは2つに集約される
実は、中小企業では社長の悩みは限定的です。言うまでもなく、会社の目的は利益を追求することです。その利益を増やすには「売上アップ」か「経費削減」以外に方法はありません。この2つは社長にとって永遠のテーマであり、今すぐ解決すべき最優先事項でもあります。ゆえに、社長の悩みも大きくはこの2つに集約されるのです。(※業種によっては「資金調達」というニーズもある)
売上アップ
経費削減
資金調達
法人保険営業の新規開拓で成功するためには、この2つのいずれかで社長の悩みを解決できる「切り口」を考える必要があります。逆にいうと、それ以外の「切り口」ではうまくいかないと考えましょう。
社長の悩みが分かったら、次は「保険」というツールを使って、その悩みを解決する方法を考えます。それが新規開拓の「切り口」になります。例えば、多くの社長が社会保険料の重い負担で悩んでいます。一方、「保険」というツールを使って、社会保険料を削減する方法があったなら、それは新規開拓において社長を魅了する強力な「切り口」になることはお分かりでしょう。
またあるいは、多くの社長は手元に残るキャッシュを少しでも増やしたいと切望しています。会社に何かあったとき、最終的に頼れるのは社長個人の財産だからです。そこで、「保険」というツールを使って、社長の手元に残るキャッシュを増やせる方法があったなら、それもまた新規開拓において社長を魅了する強力な「切り口」になるわけです。次の空欄を埋めて、あなたの「切り口」を考えてみてください。
「保険」というツールを使って、____________ できる方法
(※__には社長の悩みの解決策が入ります)
保険営業マンにとっての本当の“売り物”は何か?
保険営業マンにとっての本当の“売り物”は「保険」という商品ではありません。「保険」というツールを使って、社長の悩みを解決する「アイデア」こそが、本当の“売り物”なのです。その「アイデア」がない。それは“売り物”がないのに商売しているのと同じです。「ない」なら研究しましょう。手に入れましょう。
以下のページでその「アイデア」を手っ取り早く仕入れることができる「実務コンテンツ」をご紹介しております。いずれも保険営業の新規開拓で社長を魅了する「切り口」です。ぜひご覧になってください。
新規開拓の「切り口」が決まったら、次はその「切り口」に興味を持ってくれる社長を集める具体的方法を作ります。それが、集客オファー(提案)です。オファーとは「コレをやるからソレをくれ!」という申し出です。ここでの【コレ】があなたのオファーに、【ソレ】が社長の個人情報(企業情報)になります。
では、どうすれば社長の個人情報(企業情報)を集められるのか?
もっとも効果的な方法は「無料」という言葉を使うことです。つまり、「無料」で何かを提供する代わりに、社長の個人情報(企業情報)を差し出してもらうのです。とはいえ、「無料」なら何でもいいのかというと、違います。社長が欲しいと思うモノで、かつ最終的に保険販売につながるモノでなければダメです。
例えば、法人保険営業で使える「無料」の集客オファーには次のようなものがあります。
無料小冊子を使った集客オファー
一番ポピュラーなのが小冊子を使った集客オファーです。例えば、中小企業にとって社会保険料の重い負担は深刻な問題です。そこにきて、『誰も知らない!社会保険料を劇的に削減する方法』という小冊子を「無料プレゼントします!」とオファーすれば、欲しがる社長は大勢いるでしょう。また、「無料DVDプレゼント!」というオファーも効果的です。一般的に小冊子よりもDVDの方が反応は高くなる傾向があります。セミナー営業に取り組まれている方はその模様を収録して集客オファーに使ってみてください。
無料診断を使った集客オファー
社長の悩みが解決できるかどうか事前診断する集客オファーです。例えば、あなたが「保険」を使って社会保険料を削減できる実務ノウハウを身に着けているとします。ならば、その方法を使って、「社会保険料の削減額を無料診断します!」とオファーすれば、これまた興味を示す社長は大勢いるでしょう。無料診断という集客オファーは大きな武器になります。【無料診断→診断報告→保険提案】という合理的で高確率な販売モデルを構築できるからです。 “ビフォー・アフター形式”で事前診断できる「切り口」があれば、ぜひそれを集客オファーにしてください。
集客数を飛躍させる5つのポイント
集客数を飛躍させるには抑えておくべきポイントが5つあります。以下その5つのポイントを列挙します。
- 人は自分の興味・関心のあるものに反応する
- 人は「無料」という言葉に反応する
- 人は無形(手に取れないもの)より有形(手に取れるもの)に反応する
- 人は価値がありそうに見えるものに反応する
- 人はこれまでになかったものに反応する
多くの保険営業マンがターゲットを絞り込まず、より多くの見込客を獲得しようと可能性のあるすべてのターゲットを新規開拓しようとします。ターゲットを絞り込むと、見込客が少なくなると考えるからでしょう。しかし、事実は逆です。ターゲットを絞り込むことで、より多くの見込客を獲得できるのです。
その理屈は簡単です。例えば、大勢の人が行き交う渋谷のスクランブル交差点で「赤い帽子」を被った人を呼び止めたいとします。このとき次のどちらの呼びかけに赤い帽子を被った人は「振り向いてくれるでしょうか?」という話と同じだからです。
- そこのあなた
- そこの赤い帽子を被ったあなた
すべからくビジネスは誰かの悩みや問題を解決するために存在します。しかし、万人向けの商品・サービスはありません。どのような商品・サービスであっても解決できるのは“特定の誰か”の悩みや問題だけです。それは、「法人保険」も同じ。にもかかわらず、ターゲットを絞り込まずにいる。それは“特定の誰か”を振り向かせることができないばかりか時間とコストの大きなムダも生み出します。
例えば、全国には約419万社の中小企業あります。しかし、その約419万社の社長が同じ悩みや問題を抱えていることはありえない話です。エリア・業種・規模などがそれぞれまるで違うからです。
このような状況で「全国の中小企業の社長様」とダイレクトメールを送っても期待したレスポンスは得られないことはお分かりでしょう。約419万社となると、コスト面でもまず無理です。
それよりも同業種、同程度の規模、同一エリアの中小企業だけに「従業員**名以下の**業の社長様」とダイレクトメールを送った方がレスポンスを期待できることは容易にイメージできるのではないでしょうか。限られたコストも有効に使えます。
ターゲットを絞り込む4つの理由
まとめると、以下4つの理由からアプローチ可能な特定の問題を抱える“誰か”だけを探すためです。
- ビジネスは誰かの問題を解決するために存在する
- その誰かとは“誰でもいい誰か”ではない
- 万人の問題を解決できる保険商品はない
- 物理的にアプローチできる範囲も制限がある
ターゲット2つの選定基準
ターゲットの選択基準は2つ。ひとつは「アプローチは容易か?」という基準です。企業規模が大きすぎて社長に会うのが難しい。ニッチすぎて営業リストが手に入らない。いずれも新規開拓では致命的です。ターゲッティングの目的は集客数を最大化するためです。アプローチが容易なターゲットを選定しましょう。
もうひとつは「母数は十分か?」という基準です。ターゲットの母数が少なければおのずと見込客数も少なくなります。ある程度の母数を確保できるターゲットを選定するようしましょう。iタウンページで業種やエリアを指定すればおよその母数がイメージできます。それを一つの目安とするのもおすすめです。
ターゲット3つの絞り込み方法
上記2つの選択基準に照らし合わせて、3つの方法でターゲットを絞り込んでいきます。さらに、この3つを組み合わせることでターゲットの精度は上がっていきます。以下、それぞれ解説を加えていきましょう。
方法#1|エリアで絞り込む
対面セールスが必要な保険営業では活動エリアに制限ができてしまいます。エリアでターゲットを絞り込むメリットは移動に関して時間とコストを節約できる点にあります。この方法では競合が弱いエリアを選ぶようにして、同一エリアを徹底して攻略していくのが1つのポイントです。そうすればやがては「地域No.1」という強力な宣伝文句を手に入れることができるからです。
方法#2|業種で絞り込む
総務省の日本標準産業分類やiタウンページで分類されている業種別にターゲットを絞り込む方法です。誰もが「その道のプロ」から保険に加入したいと考えます。ターゲット業種を絞り込めば、その業種の情報がおのずと集積されて専門特化の近道になります。同業他社との差別化も図れるようになります。1つの業種で成功すればそのノウハウを他業種に水平展開してさらに新規開拓の幅を広げることもできるでしょう。
方法#3|共通項で絞り込む
ターゲットの共通項で絞り込む方法です。例えば「新設法人」がそうです。他にも、従業員数10名以下、創業5年以内、業界団体の会員などで絞り込みできます。ちなみに、求人紙に広告を掲載すると今度は別の求人媒体の会社からダイレクトメールが送られて来ます。同様にその求人誌に広告した企業には一斉に送付されているはずです。これは「求人広告の掲載企業」という共通項でターゲッティングしているからです。
ターゲットを決めるのは簡単です。勝手に決めてアプローチすればいいだけだからです。しかし、新規開拓で社長から“話を聞いてもらう”には「あなたなら自分の悩みを解決してくれるかも!」と社長に思ってもらわないといけません。そう思わせる近道は【スペシャリスト】になることです。スペシャリストとは「見込客の悩みや問題を理解していて具体的な解決策を提示できる専門家」のことをいいます。
自分に置き換えて考えてみましょう。あなたが社長なら「私は御社の業界について何も知りませんし、御社の抱える悩みや問題も分かりません」という保険営業マンから保険に加入したいと思うでしょうか。ゆえに、社長からそう思われないようスペシャリストになる必要があるのです。
以下、今日から実践できて、誰でもスペシャリストになれる3つの方法をご紹介します。
方法#1|関連書籍を最低2~3冊は読む
例えば、あなたが歯科医院をターゲットにしているとします。ならば、「歯科医院」とAmazonで検索してみてください。すると、歯科医院に関する関連書籍がヒットします。いずれも歯科医院を経営するドクター向けに書かれた書籍です。
このような書籍を2~3冊読むだけで業界知識、業界特有の悩みや言い回し(例:歯科医院では「集客」を「集患」と呼ぶ)などターゲットに関する情報を吸収できます。それだけではありません。このような書籍を読み進めるうちに、おのずと新規開拓やセールスに関するアイデアやヒントももらえるはずです。
方法#2|業界コンサルタントの情報発信をチェックする
例えば、歯科医院なら歯科医院専門のコンサルタントがいます。コンサルタントは問題解決を仕事にしています。よって、こうしたコンサルタントのHP・ブログ・メルマガをチェックすればターゲット業界の悩みを素早く知る手掛かりになります。また、売っている商品・サービスは違ってもターゲットは同じです。異業種は「どのような方法でターゲットに商品・サービスをセールスしているのか?」を知ることもできます。
方法#3|業界セミナーに参加する
セミナーは全国で毎日開催されています。そこで、ターゲットを対象にしたセミナーに参加するのです。「ターゲット(業種・業界)+セミナー」でネット検索すれば開催中のセミナーが見つかります。その中であなたが参加可能なセミナーにエントリーします。この方法のメリットは2つです。ひとつは大量の情報を吸収できる点。もうひとつは参加者が将来あなたの見込客になってくれるかもしれない点です。
保険営業における新規開拓の手法は様々です。中には飛び込み訪問やテレアポで新規開拓している方もいることでしょう。そのような手法を否定するわけではありません。しかし、飛び込み訪問やテレアポによる新規開拓を得意としている方も「営業効率が悪い」という点には同意してもらえるのではないでしょうか。
実は営業効率を上げるのは簡単です。売上に直結する活動にだけ時間を割く。これだけです。そう考えると、飛び込み訪問やテレアポでは、
- 売上につながりそうな「見込客」に割く時間
- 売上にはつながらない「非見込客」に割く時間
どちらの時間が多いのかというと、圧倒的に「非見込客」に割く時間が多いわけです。飛び込み訪問やテレアポでは不特定多数の中から総当たり的に「見込客」を探すことになるからです。その結果、営業活動の大半を売上につながらないことに費やしてしまうのです。
営業効率が悪いままでよい。そう考える保険営業マンはいないはずです。ならば、どうするか。最良の方法は見込客から“手を挙げてもらう”ことです。そうやって売上につながりそうな「見込客」だけを相手にできれば、おのずとあなたの営業効率は飛躍していきます。でも、どうやって?
見込客から“手を挙げてもらう”新規開拓の方法
新規開拓における営業効率を飛躍させたいなら「ダイレクトマーケティング」をおすすめします。ダイレクトマーケティングとは、ターゲットを絞った見込客から直接反応を獲得するマーケティング手法です。とりわけ次の3つは法人保険の新規開拓に有効な手法です。
手法 | メリット | デメリット |
ダイレクトメール | ・情報伝達量が多い ・視覚訴求力が高い ・リスト入手が容易 ・手元に残る | ・コストが高い ・作成の手間がかかる ・到着まで時間がかかる ・開封率が低い |
FAXDM | ・即効性が高い ・コストが安い ・開封率が高い ・手元に残る | ・モノクロ原稿のみ ・情報量が限られる ・クレームがある ・リスト入手がやや困難 |
メールDM | ・即効性が高い ・コストが圧倒的に安い ・双方向性がある ・WEBサイトに誘導できる | ・訴求力が低い ・開封率が低い ・到達率が低い ・リスト入手が困難 |
この3つの手法はそれぞれを組み合わせたり、テレマーケティングを併用することで、さらに効果的な新規開拓手法になります。各手法のメリットとデメリットを理解のうえ活用していきましょう。
新規開拓の「切り口」は社長の悩みにフォーカスすることです。ならば、ダイレクトマーケティングを使って悩みを抱える社長を探せばいいのです。単純な話です。例えば、『誰も知らない!社会保険料を劇的に削減する方法』という小冊子を「無料プレゼントします!」とオファーしたFAXDMを送ります。社会保険料の負担で悩む社長は大勢います。よって、その小冊子を欲しがる社長は必ずいるでしょう。
そうして実際にFAXDMで小冊子を請求してくれたら、その社長はあなたにとって“有力な見込客”になるわけです。つまり、このように社長の悩みにフォーカスして、その解決方法を絞り込んだターゲットにダイレクトマーケティングの手法でオファーすればよいのです。
まとめ
以上が【step.01】の「新規開拓」でやるべきことです。ここで解説している6つのリストを1つ1つ着実に取り組むことが保険営業における「新規開拓」の悩みからあなたを解放することにつながります。ぜひこのとおりに実践してみてください。続いて【step.02】の解説に移ります。
保険営業の成果を最大化する「仕組み」の作り方について
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