令和5年1月20日に総務省が「令和4年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指標)を公表しました。これを受けて令和5年4月より年金額の改定が行われます。今回の改定では社長に保険を売るうえで必ず知っておきたい内容も含まれています。そこで今回は保険営業マンが知っておくべき!令和5年度の年金額、及び国民年金保険料の改定をテーマにします。
令和5年度の老齢基礎年金額
令和5年度の年金額は法律の規定に基づき、新規裁定者(67歳以下の方)は前年度から2.2%の引き上げとなり、既裁定者(68歳以上の方)は前年度から1.9%の引き上げとなります。令和4年度と令和5年度の老齢基礎年金(満額)の年金額について比較すると、次のようになります。
対象 | 令和4年度の満額受給額 | 令和5年度の満額受給額 |
新規裁定者(67歳以下) | 780,900円 | 795,000円 |
既裁定者(68歳以上) | 780,900円 | 792,600円 |
加給年金額と振替加算
また、老齢基礎年金の増額改定と同様、令和5年度からの「加給年金」(配偶者加給年金額の特別加算額含む)と「振替加算」も増額改定されています。それぞれの年金額は下記でご確認ください。
加給年金とは
厚生年金保険の被保険者が特別支給の老齢厚生年金や65歳以降の老齢厚生年金を受給できるようになったときに、被保険者に生計を維持されている配偶者や子がいて受給要件を満たしているときに支給される年金を「加給年金」といいます。老齢厚生年金における「家族手当」のような制度です。
振替加算とは
老齢厚生年金の「加給年金」の対象となっていた妻(夫)が65歳になると、それまで夫(妻)に支給されていた「加給年金」が打ち切られます。このとき妻(夫)が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準により妻(夫)自身の老齢基礎年金の額に加算がされます。これを「振替加算」といいます。
令和5年度・令和6年度の国民年金保険料
国民年金保険料は平成16年の年金制度改正により毎年段階的に引き上げられ、平成29年度に上限(平成16年度水準で16,900円)に達し引き上げが完了しました。
しかし、平成31年4月から次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者(自営業など)に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、令和元年度分より、法律上の保険料が月額100円引き上がり17,000円(平成16年度水準)となっています。
ただし、実際の保険料は平成16年度水準を維持するため、国民年金法第87条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定され、令和5年度・令和6年度の保険料は次のとおりになります。
内訳 | 令和5年度 | 令和6年度 |
法律上の保険料 | 月額17,000円 | 月額17,000円 |
実際の保険料 (前年度との比較) | 月額16,520円 (-70円) | 月額16,980円 (+460円) |
在職老齢年金の支給停止基準の改定
厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことを「在職老齢年金」といいます。「在職老齢年金」では年金月額(基本月額)と報酬月額(総報酬月額相当額)の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止になります。この一定額を支給停止基準額といいます。
今回、支給停止基準額も令和5年度から増額改定されています。令和4年度の支給停止基準額は47万円でしたが、令和5年度の支給停止基準額は48万円となり、「1万円」増額改定されています。
令和4年度 | 令和5年度 |
支給停止基準額47万円 | 支給停止基準額48万円 |
この記事のまとめ
以上、保険営業マンが知っておくべき!令和5年度の年金額改定をポイント解説です。とりわけ、「在職老齢年金」の改定は重要です。というのも、現役60代社長の大半は収入があるがゆえ、「在職老齢年金」が全額支給停止あるいは減額になっているケースが多々あるからです。
それゆえ、社長に保険を売るうえで「在職老齢年金」の知識は必須といえます。以下の記事を参考に「在職老齢年金」とその問題解決策への理解を深めておきましょう。