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法人保険を売るなら知っておきたい!「役員賞与」の意外な活用法とメリット

今回は法人保険を売るなら知っておきたい知識情報をご紹介します。「役員賞与」の意外な活用法とそのメリットについてです。実は、「役員賞与」をうまく活用することで、中小企業の社長は大きく手取りを増やすことができます。法人保険営業に役立つ知識です。保険営業マンはぜひ覚えておきましょう。





事前確定届出給与で社長の手取りを増やす方法

通常、「役員賞与」は損金(経費)算入が認められませんが、所定の時期に所定の金額を支払うという旨を定めて、事前に税務署に届出をして支払えば「役員賞与」も損金(経費)算入できます。この手続きを、『事前確定届出給与』といいます。そして、この『事前確定届出給与』を使えば、社長は大きく手取りを増やすことができるのです。そのロジックを以下にて説明します。

年収は変わらず社会保険料だけ削減!

ポイントは社長の年収はそのままで“報酬のもらい方”を変える点にあります。具体的には、今の月額報酬(定期同額給与)を極端に下げて、差額を『事前確定届出給与』を使って1回の賞与で受け取るのです。こうすることで社長の社会保険料を大きく削減できます。その理由は次のとおりです。社会保険では、

  • 『事前確定届出給与』は「賞与」になる
  • 「賞与」に対する保険料には上限がある(標準賞与額の上限)
  • その上限は健康保険が年間573万円、厚生年金が月間150万円である

これらは社会保険制度の盲点といえます。この盲点を突くことで社会保険料を削減していきます。まずは1回の賞与額が標準賞与額上限を“大きく超える”ように設定します。すると、標準賞与額上限を超えた部分には社会保険料が加算されず、年収ベースでは社会保険料を大きく削減できるわけです。

標準賞与額の上限(東京都・40歳以上の被保険者)
健康保険料の上限額 厚生年金保険料の上限額
573万円 × 11.64% = 666,972円 150万円 × 18.30% = 274,500円

 標準報酬月額・標準賞与額とは?(協会けんぽHP)

対策前と対策後の手取り変化

例えば、東京都在住で40歳以上、年収1,200万円の社長がいたとして、『事前確定届出給与』で社長の手取りを増やす方法を採用したとします。【対策「前」:役員報酬1,200万円】と【対策「後」:役員報酬180万円+役員賞与1,020万円】とで【社長】と【会社】の社会保険料の負担額を比べてみましょう。

対策前と対策後の手取り変化(労使合計)
対策 「前」 「後」
役員報酬(月) 100万円 15万円
役員賞与(年) 1,020万円
年収 1,200万円 1,200万円
社会保険料(報酬) 年2,796,264円 年538,920円
社会保険料(賞与) 年941,472円
社会保険料計 年2,796,264円 … ① 年1,480,392円 … ②
削減額 年1,315,872円(①-②)

すると、社長の年収1,200万円は変わらないのに、【対策前】と【対策後】とでは年間1,315,872円も社会保険料に違いが生じるのです。つまり、この差がそのまま社長の手取り増加につながるわけです。

保険営業マンが注意すべきポイント

ただし、『事前確定届出給与』で社長の手取りを増やす方法を導入する際の注意点があります。保険営業マンは覚えておきましょう。この方法の注意点は『事前確定届出給与』で「役員賞与」を損金計上して支給するには税法上のルールを守らなければいけない、ということです。そのルールは3つです。

  • 株主総会で支給時期・賞与額を決定する
  • 議事録と必要書類(※1と※2)を期限内に税務署へ届出する
  • 届出の内容(支給時期・賞与額)どおりに支給する

 ※1 事前確定届出給与に関する届出書
 ※2 付表1 事前確定届出給与等の状況(金銭交付用)

事前確定届出給与の記載方法・提出期限

このように「役員賞与」を損金計上するには3つのルールを守る必要があります。続いて、『事前確定届出給与』の記載方法・提出期限についても触れておきます。なお、『事前確定届出給与』の必要書類は納税地の所轄税務署長宛に持参、または送付する必要があります。

記載方法

『事前確定届出給与』の必要書類(※2)には支給時期(月日)及び支給額(1円単位)を記載する項目がありますので、そのとおりに支給しないと損金不算入になるリスクがあります。

提出期限

『事前確定届出給与』は一定の期限内にする必要があります。その期限を1日でも遅れると、支給した「役員賞与」は損金算入されませんので下記の提出期限は最重要事項になります。

届出の提出期限(はじめて届出をする場合)
届出事由 届出期限
① 株主総会、社員総会等の決議により所定の時期に所定の金額を支給することを定めた 次のうちいずれか早い日
1) その決議日から1月を経過する日
2) 会計期間開始日から4月を経過する日
② 新たに設立した法人が所定の時期に所定の金額を支給することを定めた その設立日以後2月を経過する日
③ 報酬減額等の臨時改定事由により新たに事前確定届出給与の定めをした ①の届出期限と臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日のうちいずれか遅い日

この記事のまとめ

以上、法人保険を売るなら知っておきたい!「役員賞与」の意外な活用法とメリットでした。本記事で解説した「事前確定届出給与で社長の手取りを増やす方法」は社長の社会保険料を削減するものです。たしかに、この方法を導入すると社長の報酬体系が歪な状態になります。しかし、「これを税務署はどう見るのか?」については現状さほど問題となっていないようです。というのも、【社会保険料削減=社会保険料控除の減少=課税所得金額が増える】という図式が成り立つからです。

また、以下にて解説のとおり、これと同じ方法を使うことで「在職老齢年金制度」によって年金が一部あるいは全額支給停止になっていた60代社長は年金がもらえるようにもなります。これもまた法人保険営業に役立つ知識情報です。保険営業マンは併せて確認しておきましょう。

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