保険料負担が大きいほど“割”を喰う!
少子高齢化で保険料負担者が減り続けている現状を鑑みれば、現行の社会保険制度に「明るい未来」を見出せる人などいるでしょうか。それがオーナー社長ならなおさらです。なぜなら、オーナー社長にはどうにも納得できない問題があるからです。つまり、「保険料の負担が大きいほど、それに見合う給付内容が受けられない!」という制度矛盾です。以下、社長が今すぐ社会保険料を削減すべき5つの理由です
1.今後も確実に保険料は上昇し続ける
社会保険料の上昇とは会社にとって利益率の悪化につながり、社長にとって手取りの減少を意味します。例えば、年収1,800万円の社長の場合です。度重なる料率改定と報酬月額等級の引き上げで2010年と現在とでは社会保険料(労使合計)の増加額は606,516円になっています。これは21.9%もの増加率です。
年収 | 600万円 | 900万円 | 1,200万円 | 1,500万円 | 1,800万円 |
増加額 | +184,920 | +308,292 | +331,476 | +438,612 | +606,516 |
増加率 | 111.5% | 114.2% | 113.4% | 115.9% | 121.9% |
もちろん、社会保険料は今後も確実に保険料は引き上げられていきます。我が国では少子高齢化により保険料を負担する人口が減り続け、その一方で給付を受ける人口は増え続けるからです。
2.経費削減に直結する
オーナー企業の社長は会社負担分も自己負担と同義といえます。一方、現在(2020年度)の社会保険料率は労使合計29.960%です。つまり、社長は報酬の実に30%を社会保険料として徴収されているのです。
社会保険 | 本人負担 | 会社負担 | 労使合計 |
健康保険 | 4.935% | 4.935% | 9.870% |
介護保険 | 0.895% | 0.895% | 1.790% |
厚生年金 | 9.150% | 9.150% | 18.300% |
合計 | 14.980% | 14.980% | 29.960% |
社会保険料は経費の一部です。一般的には会社の中で社長がもっとも高額な報酬をもらっています。つまり、それだけ社会保険料の削減効果も大きいということです。経費削減ができれば企業のキャッシュフローも改善され、その分でより良き事業運営に資金を投下することができるはずです。
3.健康保険制度の矛盾
決して安くない健康保険料を支払い続けるのは、万一の病気やケガなどに備えるためです。しかし、健康保険は民間の生命保険とは違って保険料支払額に給付内容が比例しないのです。というよりも、ある意味では支払保険料が多いと給付内容が下がるという制度矛盾を孕んでいます。
以下は報酬20万円の場合と報酬120万円の場合の保険料と給付内容の比較です。ご覧のとおり、報酬20万円と報酬120万円と比較した場合、1ヶ月に支払う保険料の差はなんと117,766円です。
給付内容 | 報酬20万円 | 報酬120万円 |
自己負担 | 3割 | 3割 |
出産・傷病手当金 | 約4,447円 | 約26,887円/日 |
入院時食事療養費 | 1食460円 | 1食460円 |
高額療養費 | 1ヶ月の医療費が100万円掛かった際の自己負担限度 | |
57,600円 | 277,513円 | |
出産育児一時金 | 42万円 | 42万円 |
埋葬料 | 5万円 | 5万円 |
健康保険料 | 23,320円/月 | 141,086円/月 |
一方、健康保険の給付内容を比較してみると、報酬20万円の給付内容が劣るのは「出産手当金」と「傷病手当金」だけなのです。逆に、「高額療養費」では報酬20万円は57,600円で済む一方で、報酬120万円は277,513円の支払いになります。高額な保険料を支払うほど自己負担割合が高いという矛盾です。
たしかに、「出産手当金」と「傷病手当金」は報酬120万円の方が手厚くなっています。しかし、これは社長にとってはあまり意味のない制度です。まず大前提として、「出産手当金」は女性限定の給付です。社長が女性で出産の予定があるなら給付されますが、そうでない男性にはまるで関係のない話です。
次に、「傷病手当金」です。その給付条件は休職期間中に報酬が支払われない場合に給付される制度です。逆に、休職期間中に報酬を受け取っていれば給付されないわけです。しかし、病気やケガなどで社長が休職して「報酬を受け取らないことがあるのか?」というと、通常では考えられないケースでしょう。
従って、「出産手当金」と「傷病手当金」の給付内容の差は社長にとっては大したメリットではないといえます。このように報酬の違いによる健康保険料と給付内容を比較してみると、社長は高額な保険料を支払うメリットを見つけるのが難しいのではないでしょうか。
4.将来受け取る年金のコスパが悪すぎる
実は、ここにも社会保険の矛盾があります。ご存知のとおり、厚生年金の保険料は労使折半で負担する仕組みです。となれば、社長ならどちらの保険料も自分で負担しているのと同義といえます。そう考えると、どうにもこうにも、支払った保険料に対するコストパフォーマンスが悪すぎるのです。
現在の厚生年金の保険料率は18.300%です。仮に40年間ずっと厚生年金に加入していて標準報酬月額が50万円だったとしましょう。すると、以下の保険料を支払っている計算です。
600万円 × 18.300% × 40年 = 43,920,000円
一方、受取年金額はというと、2020年度の老齢基礎年金で年額781,700円です。これに加えて老齢厚生年金(従前額保障で計算)ではおおよそ、、、
600万円 × 5.769/1,000 × 40年 × 1.031 × 0.985 = 年額1,406,069円
つまり、老齢基礎年金と老齢厚生年金でおおよそ年額2,187,769円(年額781,700円+年額1,406,069円)になります。そうなると、「いったい何年で元が取れるのか?」という問題になるわけですが、
43,920,000円 ÷ 2,187,769円 = 20.07年
その答えはズバリ、「約20年」です。65歳から年金を受け取って20年経ったら年齢は「85歳」です。民間の金融商品で85歳以降は「トクですよ!」と勧誘されたとしましょう。「あなたならその商品に契約しますか?」という話です。ふつうなら契約しないはず。きっとあなたもそうお考えでしょう。
このように社長の場合は将来受け取る年金のコストパフォーマンスが悪すぎるのです。老後資金の積み立てという観点から考えれば、他に有利な資産形成の方法がいくらでもあります。
5.年金が受け取れない可能性がある
たしかに、コストパフォーマンスは悪くても、厚生年金の保険料は多く納めればその分将来の年金受取額に反映されます。それならば、ということで多少の諦めもつきます。しかし、現行制度には「在職老齢年金」というものがあります。これは何かというと、厚生年金を受け取る権利のある人が同時に厚生年金に加入していて、その人の報酬が高い場合は“年金を受け取れない”という制度です。
「在職老齢年金」は昭和12年4月2日以降生まれなら70歳だろうと、80歳だろうと、ずっと適用されてしまう制度です。ということは、社長は年金受給年齢に達した時点でスッパリと会社経営から引退しないと、「本来受け取れる年金が受け取れない」ということです。
これまで高額な保険料を支払ってきたのに、いざ年金をもらう時期になったら一銭ももらえない。そんなバカな話が現実に起こっているのです。コスパは悪い。年金受給年齢になっても、現役でいる限りは年金が受け取れない。ならば、「高額な保険料を払うのはアホらしい」というのが本音ではないでしょうか。
この記事のまとめ
さて、社長が社会保険料を削減すべき5つの理由をお話してきました。とかく節税対策となると、積極的に取り組む中小企業も多いのですが、こと社会保険料に関しては、誰からも具体的なアドバイスをされたことがないなどの理由で、これまで手つかずのままだったケースがほとんどです。
しかし、社会保険料の上昇は「見えない増税」です。おまけに、社長は従業員とは違って実質的に負担している社会保険料は倍額なわけです。そう考えると、いかに現行の社会保険制度が社長にとって不利な制度かがお分かりいただけたと思います。要するに、、、
「これでもまだ今のままの社会保険料を支払い続けますか?」
という話なのです。社長の答えが「甘んじて払い続ける」なら、もう何も申し上げることはないのですが、「いや、合法的に社会保険料を大幅節減して、手元に残るキャッシュを少しでも増やしたい!」という社長の方が圧倒的に多いはずです。ならば、ぜひ以下のスキームを社長にすすめてあげてください。
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